夢 後編(ミンギュ) 小説 SEVENTEEN
(写真:ミンギュ)
その日から彼女と会うことは無かった。
その日の翌日から彼女と連絡がつかなくなってしまったのだ。
「…ミンギュ大丈夫かな。」
ジスがジョンハンとスンチョルにこっそり尋ねる。
練習生には休みの日は無い。
たとえメンタルがどうであれ、休むことができない。
それからのミンギュはどのメンバーも見ていられないと言うほど弱っていた。
最低限のメニューはこなすけれど瞳は虚ろで、まさに魂が抜けたような状態であった。
「ミンギュ」
ジフンが手先でこまねいてミンギュを呼び止める。
急なジフンからの呼び止めにドキリとするミンギュだが、駆け寄ると、
「これ。」
とだけジフンは言ってミンギュに一通の封筒を差し出した。
それはキムミンギュ様へ、とだけ書かれた薄いピンクの封筒だった。
「なにこれ?」
ミンギュが尋ねる
「俺も分からないけれど、なんとなく、あの子じゃないかなって。」
「あの子」でミンギュも勘付いたのか、ありがとう、とジフンに言うと練習室を出て行った。
よく封筒を見ると、薄いピンクの封筒に、彼女が好きだったキャラクターのシールで封がしてある。
間違いない。
ミンギュは嬉しさと不安で激しくなる動悸を抑えながら、封筒を開けた。
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ミンギュへ
私だよ。分かるでしょ?
急にいなくなってごめんね。
私、ずっと前から親の事情でこの街を出ていく予定だったの。
せっかくずっと大好きだったミンギュと付き合うことができたのに、悔しかった。
でも、私考えたんだ。
ミンギュは今きっと人生で一番大切な時でしょう?私を優先しちゃいけないの。
だから、これはミンギュにとっていい機会だと思ったから何も言わないで去りました。
だってミンギュ、私がいなくなるって言ったら絶対に『追いかける!』って言うもんね?
ミンギュが成功して、大人になって、私の事を忘れてしまうかもしれないけれど、私はずっとミンギュの一番のファンだから。
身体に気を付けて頑張ってね。
メンバーに迷惑かけないようにね!
ファイティン!
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ミンギュは最後の方は涙で視界が歪んで読むことさえできなかったけれど
嗚咽しながら手紙を抱き締めて、
「絶対に、成功する。お前が嫌って言っても迎えに行くから」
と一人で呟いて、精一杯微笑んだ。